某所で新月予報を出している「星見当番」の裏日記。裏当番&裏テントチームが執筆を担当


by ura_hoshimi

ホラの食卓

今日はなんとなく体中が痛くて、だるい感じがする。
風邪の前兆のような感じのだるさで、眠気も消えないので
なぜだろうと思っていたら、どうも昨日の朝の掃除のせいらしい。

ベッドを動かしてその下の埃を取り、きれいにベッドメイクして
また元の位置に戻すという、掃除嫌いの宿主どのにしては
大掛かりな掃除をした。それも、森茉莉が言うところの
「紫式部か和泉式部の掃除」といった手のろさで。

綺麗にはなったけど、慣れないことをした後遺症で体がだるい。
朝、早起きしてパンで朝ごはんにしようと思っていたのだけど、
結局朝目覚められずに昼まで寝てしまった。
昼過ぎに寝床から這い出して、お茶の準備をする。
今日も、昨日の危険物祭りの続き。今日は「ホラの食卓」だ。

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ミヒャエル・エンデの『モモ』で、カメに導かれて遠路はるばる
時間の国の「どこにもない家」にやってきた少女・モモに
「どこにもない家」の主人・マイスター・ホラが出した朝食の真似。

「テーブルの上には、ずんぐりした形のポットと、二つの小さな
茶わんとおさら、それにスプーンとナイフがならんでいました。
どれもこれも、ピカピカの金でできています。金褐色にパリッと焼けた
巻パンが小さなかごにならんでいて、金色のバターの入った小鉢と、
まるで液体の金のように見えるはちみつの入ったつぼもあります。
マイスター・ホラはずんぐりしたポットから両方の茶わんに
チョコレートをついでから、身ぶりよろしく食事をすすめました。」

昨日と同じようにパンを温めて表面をパリッとさせて、
バターと蜂蜜を添えた。蜂蜜を入れる適当な器がなかったので
お弁当用のアルミカップに入っている(笑)。
金のお茶道具もないので、昨日紅茶を入れていた焼物のポットに
気に入っている淡黄のマグカップ。

でも、「チョコレート」は「ココア」にしないで、ちゃんと
製菓用チョコレートを削って湯煎で溶かし、ミルクで伸ばして
「ホットチョコレート」にしたのだ。マシュマロを浮かせたのは、
食事当番の好み。食事当番はマシュマロが好きだ。
本当はチョコレートやココアに浮いているのよりも、
直火で上手に炙った「焼きマシュマロ」が好きなのだけど。

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巻パンを手で千切って、バターを乗せて蜂蜜をかける。
冷蔵庫から出したばかりだったので、バターがうまく伸びない。
「バターを塗った」というより「乗せた」という感じ。
でも、温かいパンの上の冷たいバターはおいしいからいいのだ。

蜂蜜は、甘みの中にちょっと金属っぽい尖った味が入っていて
それがツンと来るので普段の食事当番はあまり使わない。
なんていうのか、蜜蜂の金属的な羽音を耳にすると鼻がツンとする、
あの感じが、蜂蜜を舐めたときにもするのだ。
蜂蜜の甘みが舌にさわると、耳に「ブーン」という唸りが聞こえて
鼻がツンとして、視界の端に丸い金色の光が見える、ような気がする。

しかしバターと蜂蜜を一緒に食すこと、これは例外的に好きなのだ。
バターの塩っ気と、蜂蜜の味が一緒になると、とてもおいしい。
ちょっとブルターニュ地方の「塩バターキャラメル」的な味だと思う。

(話がそれっぱなしになるけど塩バターキャラメルは美味い!
この間たまたま売っていたのを食べてその美味しさに驚いた。
食べていて「バターと蜂蜜を塗ったパン」の味を思い出したことも、
今回の「ホラの食卓計画」を思い立った遠因、かもしれない。)

勿論本物バターと蜂蜜の組み合わせが一番いいのだけど、
マーガリン&蜂蜜もおいしい。子供の頃、マーガリンと蜂蜜を
同じ分量ずつ混ぜ合わせて、食パンに塗るスプレッドを
自分でこしらえていたことを思い出す。蜂蜜を混ぜて練っていくと
マーガリンに透明感と艶が加わって、ちょっと真珠光沢っぽくなる。
その真珠っぽくなったところが、上等の感じだと思っていた。
焼いていない生の食パンに塗って食べるのだ。

イチゴジャムと、マーガリンも同じように混ぜ合わせていた。
「イチゴバター」と自分では呼んでいた。バターじゃないけど。
さらにさらに余談だけれど、父は昔、焼いていない生の食パンに
バターやマーガリンを厚めに塗って、そこに白砂糖をまんべんなく
雪のように塗り広げたのを一人でおやつに食べていた。
お供は冷たい牛乳である。たまに夜中にお腹が空いた時も食べていた。

気が向くと、「バター砂糖パン」を子供にも作ってくれた。
母は「そんな食べ方をして!」と渋い顔をしていたが、
それは父が、台所の冷蔵庫の傍で、バターと砂糖を出して
パンに塗った後、立ったままそれを食べていたからだ。
子供はもちろん「座って食べろ」と母に言われた。

父も娘も、もう「バター砂糖パン」など随分長い間食べていないが
たまに、小さい頃暮らした団地の台所で、蛍光灯に照らされて
バター砂糖パンを食べていた父の姿を思い出すことがある。
思い出す父は、なぜか必ずパジャマのズボンに、上は下着のシャツ
(白の半袖の)なのだ。台所の蛍光灯以外は暗くなっていて
だから多分、夜食に立った父を見たときの記憶なんだろうと思う。

話が大幅にそれているけれど、バターと蜂蜜を乗せた
温かい巻パンはとても美味しかった。中に入っている胡桃がまた、
蜂蜜と合うのだ。一個目を平らげてから、チョコレートを飲む。
あ、甘ーっ!溶けたマシュマロが甘い。チョコレートも甘い。
製菓用の甘みのないチョコを使ったのにすごく甘い。おかしいな。

もう一度蜂蜜巻パンをかじって、ハタと気付いた。
これと一緒に食べるから、甘いのではなかろうか。
普段、蜂蜜とチョコレートを一緒に食べることなどないから
きっとそれですごく甘く感じるんだ。お盆の上の蜂蜜バターパンと
ホットチョコレート。含まれる糖分の総量を想像すると眩暈がする。

「ホラの食卓」。
おいしいけど、凄く甘い朝ごはんだということが判明した。
きっと、モモのように長い長い距離を夜通し歩いてきたら
とても美味しく感じるだろうなと思う。冬の徹夜明けだとか、
冬山で遭難しかけて、命からがら帰ってきた時とかにはよさそうだ。
ともかく一度試すことができたので、食事当番は満足である。

【番外編:レッド・ホット・チリチョコレート】

甘い甘いチョコレートを飲みながら、食事当番はふと思い出した。
少し前に、どこかのブログで「オトナのホットチョコレート」だか
「オトナのココア」だかの記事を読んだことを。

お子様的、甘いだけのホットチョコレートに飽きた方にということで
スパイス入りのホットチョコレートを紹介していたのだ。
なんと、出来上がったものにチリペッパーの粉を投入するという。
甘い中にピリっとチリの味がきいて、カッと体が温まるのだとか。

「ほうほう、それはいいかもしれない」と食事当番は思った。
煮出しミルク紅茶に黒胡椒を投入したものを飲む食事当番、
チョコレートに唐辛子という取り合わせにもそれほど抵抗がない。
(黒胡椒入りの煮出しミルク紅茶は、美味いのだよ。生姜も入ってる。)

カップには、いまだ半分ほどのホットチョコレートが残っている。
今試さないで、いつ試す。食事当番は台所から唐辛子を持ってきた。
「チリペッパー」や「カイエンペッパー」があればよかったのだけど、
あいにく食事当番のところにはそういう小洒落たものはない。なので。

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これだ。good old ジャパニーズ一味唐辛子。S&B食品製造!
唐辛子だし、混じりっ気なしの「一味」なのだからこれでいいだろう。
これが「七味」だったら母が作る衝撃的な料理の仲間入りだけど。

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蓋を開けて、チョコレートのカップへいざ投入。
飲みかけのカップがいささかお見苦しくてすみませぬ。

「新たなる美味しいオトナの世界」に到達するか、
それとも「食事当番の作る衝撃的な料理」リストに一件追加か。
本当にそれを入れるのか。飲むのか食事当番。
今ならまだ戻れる。戻れるぞ…


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一振り、二振り…入れた~。あああ。もう後戻りはできない。
♪Passed the point
of no return -
no backward glances:
the games we've played
till now are at
an end...

♪ちゃらら~ら ♪ちゃらら~ら 
と『オペラ座の怪人』の挿入歌が耳に響いてきて
脳内バレエ団が炎のフラメンコを踊る中、
食事当番はスプーンで唐辛子入りチョコレートをかき混ぜて、
飲んだ。飲んだ~。

結果。
普通においしいホットチョコレートでした。
そんなに強烈にオトナ味じゃなかった。なあんだ。
飲んだ後で、多少喉にカ~ッと来るかなあという程度。
唐辛子が加えるのは辛味だけで、チョコの香りや味に
変化はありません。興味のある方はお試しくだされ。

ただし!必ず混じりけなしの一味唐辛子か、
「チリペッパー」「カイエンペッパー」の「粉末」を使うこと。
間違えて「七味唐辛子」や「タバスコ」を入れたら衝撃料理です。
タカノツメ丸ごとも、避けた方がよろしいかと。

久々に出番が回ってきた食事当番、楽しい週末でありました。
これからお風呂に入るのだけど、体重計に乗るのだけが怖い。
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by ura_hoshimi | 2005-11-20 20:51 | 食事当番記す